☆冒険の惑星2を読む (ネタバレ注意)

1の記憶が風化しない内に2へ。
1はどうしても全体の舞台設定に紙幅を使ってしまってテンポが遅かった。それに比べると2に入ってからはヴァンス節全開。実に面白く、アッと言う間に読み終わってしまった。
1ではチャッシュが回収していった自分の宇宙船を奪回して帰還することが目標だった。この2巻では、前半は救出したヒロイン、イリン・イランをブルージェイドの王宮に送り届けて王から援助を受けて宇宙船を調達することを目指す。
このために、リース、ヒロイン、そしてディルディル人のアナコ、紋章人のトラズは、コタン大陸を西端のペラから東へと渡っていく。ペラを出発するのに利用した飛行艇は青息吐息でコード港まで。コード港では、ブルージェイド王の賭けた報酬目当てでヒロインを探しに来たドルドリオと遭遇する。この堅苦しくて経済観念のない扱いにくい男に悩まされ続ける。コード港からはヴァンスの得意の船旅となるが、旅の途中で王族の姫でありながら放浪者に助けられて一夜を共にしてしまったことを恥じるヒロインは鬱になり身投げしてしまう。それでもブルージェイド王宮まで着くが、今度は煩雑な儀式とドルドリオの横槍に悩まされ、結局わずかばかりの報奨金を手に脱出。王の副官で謎の多いヘルセを利用してジンガ河を下ってカバサス港へ。
そこで計画を立て直して、ワンフの宇宙船技術を持つロクハーたちを利用してワンフの宇宙船を奪って逃げる算段を立てる。このために、再び海を渡ってザラからスマルガッシュを経て宇宙船操縦要員を確保。ワンフのアオ・ヒディスへと行き、苦難を乗り越えて宇宙船を奪う。しかし、操縦法のわからない新型宇宙船は一旦は浮上するものの早々に降下してファラス湖へ不時着。そこで、ワンフとワンフ人たちに捕まる。だが、ワンフ人がワンフを操縦していることを看破し、そのことをワンフ人のスパイだった意外な人物を利用してワンフに伝えてワンフ人たちの既得権益を破壊する。そして、主人公たちは再びスマルガッシュに戻り、次の策として資金を稼いでディルディルから宇宙船を買うことを考え始めた所で波乱万丈の2巻は終る。
この要約以外にも様々な原住民や得意な文化が船旅の間に次々に走馬灯のように主人公の前を通り過ぎていく。異文化描写では右に出るもののないヴァンスの面目躍如と言った巻である。ヴァンスのファンなら必読! 魔王子シリーズを質に入れても購入すべし(笑)