ドイツ軍の最後の攻勢作戦と言われるのが、ハンガリーで実施された春の目覚め作戦。
その昔、ホビージャパンがリック・スペンス氏に依頼して初の海外デザイナーによるオリジナル作品を企画した時に、スペンス氏が最初にリサーチした作戦だと言う。しかし、スペンス氏は、この作戦には勝算がなかったこと、仮に作戦に成功しても全局に与える影響が小さかったと見られることから断念。その前に同地域で行われたコンラート作戦(ブダペスト救出作戦)に切り替えたのだそうだ。
筆者はバルジ作戦が嫌いだと何度か書いているが、理由はスペンス氏と同じである。バルジ作戦に成功の見込みがあったと思えないし、仮に作戦が史実より進展したとして、それが一体何なのだろうかと思うのである。
その意味では、春の目覚め作戦はさらに悪い。参加したのは、バルジ作戦でバストーニュ前面で消耗したSS第6装甲軍(作戦開始時は単なる第6装甲軍)であり、兵員充足率こそ90%あったが、AFVの充足率は50%程度だったとされる。これがヒトラー虎の子の装甲軍が攻撃を開始する時の状況だと言うのだから、断末魔と言う他はない。
さらに、ソビエト軍は攻勢を察知しており、クルスク戦と同様に後方守備陣地を作って待ち構えていたと言うから、結果は推して知るべしである。
それでも、前述のスペンス氏のリサーチを無駄にしたくなかったのか、ホビージャパンは石川輝氏のデザインでTACTICS付録ゲームとして「春の目覚め作戦」を作成した。
で、これを発掘してきて、ルールを読んでいる。
なんでまた?‥と本人も思う。
事情は少し長くなる。
「ビネジョー」をプレイした後、ビルマ戦のゲームを調べていくと、HJの「日本の進撃」は数少ない日本語資料アクセスのビルマ戦ゲームであり、アメリカ人のデザイナーが作るビルマ戦とは違う知見もありそうな気がしてきた。
なので、ちょっと見てみたいと思う。
だが、そもそもデザイナーの石川氏は購入に値するゲームを作れるような方だったのかと懸念している。「ファーシーズ」のTACTICS版が石川氏のデベロップだと言う話しを聞いたことがある。同作のルールは読んだが、非常に煩雑で印象が悪い。なので、ミズテンで「日本の進撃」は買えない。そこで、石川氏のデザインであり、自宅で発掘可能な「春の目覚め作戦」の出番となったのである。
本件、ルールを読み終えたら、続報の予定。