プリズナーno.6を見る(16、17)

bqsfgame2014-07-15

第16話は、邦題は「最後の対決」です。原題は「ワンスアポナタイム」なのですが、ちょっとどういう意味か測りかねます。
今回のナンバー2は、「ビッグベンの鐘」に登場したレオ・マッカーンです。ナンバー2の再登場はシリーズでも初めて。彼はナンバー1と思われる人物に電話して、「最終段階に入る。彼と私のどちらかが死ぬまで戦う」と宣言します。
その宣言通りにナンバー6をオフィスに呼び寄せて、地下の秘密基地に二人で一週間に渡って直接対決します。ある時は一緒にシーソーを遊び、ボクシングやフェンシングで戦い、なぜか複座の爆撃機に乗ってドイツを爆撃に行ったりします。その折に触れてナンバー2は、「なぜ辞めたのだ?」と詰問し、「おまえはナンバー6だ」と数字であることを強要します。
しかし、最後には形勢が逆転し、ナンバー6がナンバー2を倒します。ちょうど1週間の期限が過ぎてオフィスの鉄扉が開くと、監視基地のリーダーがナンバー6の勝利を認定します。ナンバー6が、「ナンバー1に会わせろ」と要求すると、「では会わせよう」と言う所で本エピソードは終了します。
本当にナンバー1に会えるのか? それは何者なのか? そもそも村とは何なのか? ナンバー6が辞めた理由は明らかにされるのか? 次週、最終回「フォールアウト」を見逃すなと言う予告編で締めくくられます。
最終話は、終結です。原題はフォールアウトですが、これは核戦争後の放射線降下物のことです。冷戦時代が遠くなり、解説しないと判らない用語になりました‥(^_^;
ナンバー1との対面を果たすべく地下空洞へと降りて行ったナンバー6。そこに待っていたのは、奇妙な白黒の仮面と白の長衣を来た代表団と、ブロンドの鬘を被った議事進行役。権力の移行に当っての手続きだと言うのですが、どういうことかきちんとは説明されません。
どうやら、最後の対決を制したナンバー6は、もはや数字で呼ばれる存在ではなくなり、彼こそが新たな権力者となると言うことのようです。
それとは別に、コミュニティに対する反逆者として、ナンバー48と、蘇生したナンバー2が呼び出され、それぞれの罪状で告発されます。
そして、いよいよナンバー1と逢うべくさらに深くへと入っていくと、そこはまるで大陸間弾道弾のサイロ。そこにいるナンバー1の長衣を来た男も仮面を付けており、それをナンバー6が剥ぐと猿の顔が、それも仮面なので剥ぐと、見知らぬ男の顔が現れて哄笑して逃げ出してしまいます。
その後、ナンバー6は、ミサイルサイロの発射ボタンらしきものを押してしまい、緊急事態が宣告されます。混乱の中で、ナンバー6は、執事、ナンバー48、ナンバー2を味方に地下の謎の集会メンバーを殺戮した上でトレーラーで脱出します。
村は、海で隔てられていたはずなのに、なぜかトレーラーでしばらく走っていくとロンドンへ辿りつきます。48と2は、それぞれに自分の道を歩みだし、ナンバー6は自分の家に戻り愛車ロータス7に乗ってオープニングのようにロンドンの街を走り抜けていく所で終ります。
もともとマクグーハンは、論争を呼ぶような作品を狙って作っており、ちゃんと謎解きする意図はなかったようです。
ひとつの解釈として、ナンバー1とは実はナンバー6であり、彼は村を管理する仕事をしていたが、その仕事に愛想を尽かして辞職。結果として自身が村に送り込まれてしまったと言う話しが、オマケの解説に出てきます。その証拠として、ロンドンのナンバー6の自宅の扉には1と書いてある(ヨーロッパの住宅では番地が扉に書いてあるのは良くあることですが‥)と言うのです。
この解釈は面白いのですが、それでも作中のエピソードを綺麗に説明できてはいません。
ナンバー6が村に送り込まれた後に、ナンバー2に電話で指示をしていたのは誰か?
ある時はリトアニアにあると言われ、ある時はモロッコ沖にあると言われ、海で隔離されていてヘリコプターでしか脱出できないはずだった村からトレーラーで逃げられるようになったのは何故か?
と言った大きな疑問がそのまま残っているからです。
本作品を理解する上での時代背景として、1967年はジョンソン大統領の北爆が拡大して反戦運動が高まった年であり、中東では6日間戦争と呼ばれた第三次中東戦争があった年であり、米ソの代理戦争が世界各地で火を噴いていた時期だと言うことがあると解説は言います。
確かにそうした側面はありますが、放送から50年に近付き、時代背景とは無関係に見るようになった時代にも本作品は依然として多くのファンを魅了しています。それは、一般論的な、自由、権利、権力、弾圧、などと言った諸要素に切れ味鋭く踏み込んでいるからなのかなと個人的には思います。