オールクリア二分冊、合計1000ページを読了しました。
リーダビリティは圧倒的に高いのですが、それにしても1000ページは長い。ブラックアウトから数えると1700ページ。文庫本にすると倍近くなりますから400ページの文庫本8分冊とか‥(^_^;
最終巻に入ってからは、「あれ、実はこういうことでは?」と思うようになりました。その予想は案の定、的を得ていました。ある意味で、WW2の歴史改変系のタイムトラベル物では、いかにもありそうな路線なのです。
ただ、ウィリスの凄い所は、凡庸なアイデアだろうが何だろうが、それを圧倒的な筆力で大舞台に仕上げて見せる所です。
史学部のある未来、ロンドン大空襲、VEデイに加えて、テロの時代も入って4つの時代を跨り、しかも時系列的でなく描写するという難易度の高い作品。作者が8年がかりで書いたというのも頷けます。よくぞ、この完成度でまとまったものです。
また、ウィリス作品の常ですが、登場人物の魅力が素晴らしい。
個人的に一押しは、サー・ゴドフリーですね。次が、ビニー・ホドビンでしょうか。どっちも主役ではない、時代人である所がミソです。
また、ゴドフリーを中心に引用される膨大な量のシェークスピア。加えて、アガサ・クリスティーのミステリー。思わずそちらも読みたくなるほどです。
これから読む人のために書くまいと思いましたが、一つだけネタバレします。
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8
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4
3
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1
筆者が一番好きなセリフは、ポリーが別れの挨拶に行った時のサー・ゴドフリーの最初の質問です。
「われわれは、この戦争に勝ったのかね?」
これに尽きます、本書は。
でも、ウィリスって、イギリス人ではないのですよね。