○回想のラバウル航空隊を読む

bqsfgame2015-04-10

書泉に行って戦史関係の本棚の前を通ったら、ラバウルのタイトルが目に入りました。
カートホイール作戦をソロプレイした翌日だったので、つい衝動買い。いや、読む物が多すぎて渋滞しているのですが‥(^_^;
作者の守屋清さんは、旧制六高を出て東京帝大法学部へ進んだというエリート学生。そのエリート学生でも、乙種合格で陸軍の一兵卒で従軍する所だったと言うのですから、へぇーと言う感じです。タッチの差で、海軍の短現主計科入りが決まったという強運の持ち主です。短期現役士官は、二年間限定の士官採用と言うことで、学生は皆、就職活動をして就職先が決まった状態で士官したりしたんだそうです。知らなかったぁ‥(^_^;
短期現役で、しかも主計士官ですから、戦闘機乗りでも、海戦隊でもありません。しかし、組織ある所に仕事ありなので、どんな前線にも、後方にも仕事があるというのが特徴。で、行ったことがない所で比較的安全そうな南西戦域を希望したら、ちょっと違って南東戦域へ配属。南西戦域と言うのはシンガポールとかで、南東戦域と言うのはニューギニアやソロモンな訳です。それは全然違うわ‥(^_^;
しかし、守屋さんはどこまでも強運で、最前線のブインに43年初めに赴任。まだ、カートホイール作戦が本格化する前の時期で、ラバウルは最前線とは言え、まだまだ最悪の時期になる前。米軍の攻勢が激しくなってブインの部隊が縮小されると、それに伴ってラバウルへ。そこで、パラチフスを患って死線を彷徨い、軍医が内地転属を申請してくれたという。と言うことで、ラバウル破局を迎える前に本土帰還。それでも際どかったのは、途中のトラック島では、米軍の大攻勢の前日に飛行艇で横須賀へ飛び立ったということで、タッチの差で破局を免れている。
どんな破滅的な戦場でも強運で生き残った人がいるし、そういう人しか手記を書けないのだから、手記は必然的に強運で生き残る物語にならざるを得ないのかも知れない。
読んでいて思うのは、戦時中であり、最前線であり、敵攻勢下であり、衛生状態や食料状態は劣悪であるのだが、それでも意外にさらりと普通の感覚で暮らしているのが凄く不思議。もちろん登場してくる人物で生きて帰らなかった人は多く、その生死の境は紙一重であるのだが。