メコンデルタの水上戦は対潜戦(ASW)と同じだ!

これは非常に興味深い指摘でした。
ヴェトナム戦争では、ヴェトコンはジャングルに隠れていたり一般住民に紛れていたりして、圧倒的な火力を持つ米軍が容易に攻撃できない困った相手でした。
そこで、何をするかと言うと、兵力輸送や補給物資輸送を河川輸送部隊で実施する。ヴェトコンとしては、これこそは好適な攻撃目標。これを攻撃しに出てきたヴェトコンをカウンター攻撃して撃破するのが理に叶っているという訳です。
これは、WW2の対潜戦と同じで、欧州へのコンヴォイを派遣する。相手はそれを狙って攻撃に出てくるので、それを叩く。その結果として、相手にコンヴォイを沈められもしますが、それに見合う以上に潜水艦を沈めれば結果として潜水艦攻撃はやがて規模縮小に追い込まれていく。これは、「デーニッツと灰色狼」で看破されていたそのままです。肉を切らせて骨を断つ路線です。
で、ヴェトナム戦争メコンデルタの戦いは、これと同じだというのが記事の重要な指摘の一つです。広大なジャングルを掃討するのは、移動が困難過ぎて歩兵や戦車には無理。ヘリコプターは有力ですが、エアベースが必要で、燃料、弾薬、部品などの大規模な補給支援も必要。エアベースを守るための守備隊も必要。結局、その補給物資を送ったり、陸軍を送り込むためにも、河川輸送が唯一の選択肢になるという訳です。
そして、河川輸送部隊に護衛兵力を付けて輸送することによって、制空権ならぬ制河権を確保し、これによってヴェトコン側の補給や部隊輸送を封鎖することもできるという訳です。
なんか良いことばかり書いてある訳ですが、それでもヴェトナム戦争は勝てなかったと言う事実は否定できません。しかし、本稿を読んで初めて知ったのですが、ことメコンデルタ地域(第4軍団管区)では、テト攻勢の時期でもサイゴン陥落の時でも米軍側のコントロールは比較的安定していたのだそうです。
と言う訳で、本作シーローズでは上述の制河権を奪ってヴェトコンを締め上げる米軍ブラウンウォーターネイヴィーの活躍を見せることにフォーカスしてあるのだそうです。