○暗殺者の惑星を読む

bqsfgame2017-04-04

マイク・レズニックです。なぜか新潮文庫
かなり前に入手したまま積読になっていました。
一念発起して埃を払って見ましたが、これは面白い。
設定的にも、テイスト的にも、「ジャッカルの日」を強く連想させます。
http://d.hatena.ne.jp/bqsfgame/20120721
ただ、最後まで読むと物語の様相は一転します。
実は主人公は、暗殺者のジェリコではなく、ターゲットの殺戮者コンラッドでもなく、暗殺者を普通の犯罪者として阻止し裁こうとするセイブルなのではないかと思いました。
そして、物語は「ジャッカルの日」に似たサスペンスではなく、いつものレズニックの「何が正義であるか容易に答えは出せない」という教訓譚に姿を変えます。
この延長線に彼の傑作「サンティアゴ」がある訳です。
レズニックファンなら必読。そうでない人もエンターテイメントとして存分に楽しめる出来栄えだと思います。
とは言え、エンディングは少し力強さに欠ける印象がありますが。