クラークの短編集を発行順に追っていますが、前哨、明日を越えてに続いて三冊目。
実は、白鹿亭奇譚と言う連作短編集も間にあるのですが手放してしまいました。連作短編集なので、ちょっと違うかなと言う気もするので図書館で探したりもしませんでした。
さて、本書ですがショートショートが主体で、少々読み応えに不足する感じもあります。
しかしながら、実際の月世界探検の時代に連載された「月に賭ける」の連作ショートショートは面白く読めました。米英ソの三国による共同月探検プロジェクトを想定した、少々、シニカルな連作です。
これが好評だったのを受けて、宇宙探検時代の連作ショーショートである表題作が実現したそうです。
短編集を読んでいて思うこととして、クラークの皮肉屋としての側面が強く出ている、人間という生物種に対する透徹した目線が目立つということです。
特に後者は強く感じるようになりました。こうした意識で読み直すと、SFM連載当時に決して好意的に読めなかった「楽園の泉」にも、また違った評価を与えられるのかも知れません。
次は「10の世界の物語」になります。