予定を変更して先に「楽園の泉」です。
SFM連載時、文庫版刊行時に続いての三読と思います。それにしても30年ぶりくらいですね。今回は図書館でハードカヴァー版を借りて読みました。ですので、3回とも違う版で、全部の版を読みました。
過去二回よりもずっとスムーズに読み進むことができました。その結果、見通しよく読むことができ、神話と近未来の往復に置き去りにされることなく読むことができました。
ヤッカガラという巨石神殿が登場しますが実在しません。ただし、モデルは存在していて、こちらだそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%83%A4
改めて評価し直すと☆評価としました。
基本的に軌道エレベータの話しですが、それを候補地となったスリランカの寺院と、建設を目論むエンジニアの両方の視点から描きます。
さらに、スターグライダーの飛来や火星のテラフォーミング、SFならではの絶対的苦境でのレスキュー作戦と言ったクラークの過去作品のオマージュとも思えるエピソードも織り込んで一気に纏め上げています。
連載で一か月おきにズタズタで読むと、非常に理解しにくかったのですが、一気に読み終えると完成度はなかなかのものだと思いました。これを絶筆作品にしようとしたクラークの意気込みが伺えます。
これだけ気持ちよく読めるのなら、いずれまた四読することもあることでしょう。
ここまで高く再評価すると、「最終定理」は必要なかったのではないかなとも思ったりします。それは言い過ぎか?