千利休、ふたたび

一週遅れて書いています。

先週の「納屋襲名」です。

前半は、「名人戦」とも謳われる小牧・長久手の戦いです。

意外なことに堺の豪商の大河である本作では、合戦の機動、駆け引きが手厚く描かれていてしばしば驚かされます。鳥取城兵糧戦も凄かったですが、小牧長久手もなかなかのものです。

先に有利なポジションを占めた家康は、秀吉方が動かざるを得なくなるのを待ちます。合戦の見通しを助左に聞かれて、「この戦、先に動いた方が負け」と断定して見せます。

さて、秀吉方では池田恒興森長可らが、秀次をそそのかして夜陰に乗じて長躯、三河を脅かすことによって家康を後退せざるを得なくさせようという奇策を秀吉に進言させます。

秀吉は一旦は否定するのですが、三者が強く主張するのでやらせてみることにします。

しかし、家康は謀みを看破し、秀次軍を背後から追撃します。池田、森は相次いで討ち死に。秀次は敗走し、助左に出会って秀吉本陣まで護衛してもらい一命を拾います。

秀吉は秀次を助けてもらった例に人に合わせようと言い出します。この「人」と言うのが、当代一の茶人となっていた千利休です。秀吉が折角もったいを付けて逢わせてくれたので、初めましてと神妙に挨拶する助左。それに対して、「おこととは初めてではないはずだが、わたしはまだそこまで耄碌してはいないぞ」と告げる利休。

なかなか帰ってこない荷駄隊を堺で待つ美緒と桔梗は、互いを仮想敵として認識しあいます。帰ってきた助左を店に早々に送り届けて食事にしようとする桔梗の美緒を見る目が厳しい。竹下景子にしては珍しい役回りです。

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さて、今年もルソンに旅立とうとする助左ですが、昨年の輸入品が売れ残ったままです。そんな店を、ウィンドウショッピングできるように明り取りを大きく取る大改造をした所、早速、格子の外から店を眺める男が一人。勘の良い桔梗は、これは大事なお客様だと気付きます。

お客は利休本人でした。

しかし、資金が回っていない助左の店には茶の葉もなく、桔梗は商品の蜂蜜を白湯に溶いて出します。

天下の茶人にそんなものを出してはと慌てる助左ですが、利休は悠揚迫らず「道理で甘いはずだ」、「ほのかにルソンの香りがする」と味わって飲んでくれます。

そして、店の在庫をすべて引き取るが、代金は利休が輸出用に用意したが無用になった納屋の死蔵在庫で払いたいと提案します。

そして、翌日、納屋通りで納屋の鍵を助左に渡した利休は、頭を丸めた姿で納屋の姓も是非とももらって欲しいと言い出します。

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「何故にわたしに」と尋ねると、納屋の姓は堺に留まって行くものに譲りたいのだと明かします。堺の会合衆の筆頭、千利休は秀吉の迷惑な誘いに応じて大阪へと移る覚悟を決めていたのでした。