〇剝製の島を読む

山田正紀の初期短編集です。

徳間文庫で6冊目の出版ですので、「最後の敵」の次になります。初期短編集でありながら、随分と文庫収録が遅れたものです。

「アマゾンゲーム」は、リオで弟を殺された主人公が弟の未亡人と名乗る女性から助けを求められて、アマゾン奥地の電力ネットワークを過負荷攻撃で麻痺させに行く話です。ゲームと表題にあるので期待しましたが、単純なティックタックトー(三目並べ)でしかなく、大いにガッカリしました。

「湘南戦争」は、湘南地域での漁師たちと太陽族の若者との相互の侮蔑意識が、一人の妖艶な女性の振舞で血みどろの殺戮戦争になってしまう話し。「終末曲面」の諸作品と近い後味の悪い作品ですが、どことなく魅力的なのは何故でしょう。

「剥製の島」は利文島の友人を訪ねて、彼が仕留めようとしている群生烏の大親分を仕留めようとする話しです。ここにも友人を誘惑する妖しい女性が登場します。