☆隠密流れ旅を読む

 大富豪同心その15です。図書館。

 今回は、天満屋一味が八巻を打倒するには、三国屋の財力を切り離すことが必要と考え、なんと三国屋が札を指した御蔵米が川に流れたという狂言芝居を打つ所から始まります。

 これを聞いた吝嗇家の徳右衛門は、自ら倉賀野宿まで調査に赴きます。しかし、一人では不安なので南町奉行所に依頼して八巻(卯之吉)を隠密廻に任じて倉賀野に派遣するように依頼します。

 徳右衛門のお付きの番頭の喜七も、物騒と判断して自らの裁量で水谷に支度金を送って用心棒を依頼します。

 かくて、徳右衛門と喜七、卯之吉と銀八、水谷と由利之丞は、それぞれ別々に倉賀野へとやってきます。この辺のパーティーが個別にダンジョン(?)に参集してくる辺りはD&Dのシナリオみたいです。

 天満屋側は一番守りの弱い徳右衛門を攫って身代金をと考えますが、雇われた殺し屋は八巻が出てくると八巻を討って名を挙げようとしますが、うっかり水谷を一味に引き込んでしまったため水谷に背後から斬られてしまいます。水谷は天満屋に八巻にやられたと報告し、とても自分では敵わないと報告します。かくて、剣豪同心八巻の評判は悪党たちの間でますます広がっていくのでした。

 前回の隠密は甲州路でしたが、今回は上州路で地元を流れる利根川が登場し、そこを平底船で渡るシーンが出てきて、大川を猪牙船で渡るのとは全然風情が違って、さすがの坂東太郎と思わせます。

 物語は天満屋一味が計略に組み込んでいる神憑き様が倉賀野宿に入ってくる所でクリフハンガーしてしまい、次に続くとなります。早く借りなければ。