〇ヘリックス・ザ・キャットを読む

 題記載のスタージョンの一編のみを再読しました。

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 再読して、ようやく各登場人物の思惑がちゃんと把握できました。
 主人公は、軟質ガラスを発明、その壜を焼鈍していると壜のなかに迷い魂が逃げ込んできます。この迷い魂が再び肉体を手に入れるために、主人公の飼い猫であるヘリックスを利用しようとして、まず猫に前足で物を持てるように生体改造し、言語が発話できるようにもします。
 この改造によって知性を得たヘリックスは、魂の思惑と、主人公の裏切りを察知して、決定的瞬間に事態を破綻させます。
 もっとも迷い魂は、当初はヘリックスの体を利用するつもりでしたが、途中からは人間の体の方が良いので主人公の体を乗っ取ろうと企んでいました。
 で、最後の瞬間にヘリックスは迷い魂を蹴散らしてソウルイーターに食わせてしまい、主人公に対しても自分が主人のように振舞うようになってしまうという話しです。
 ある意味では、主人公は迷い魂の陰謀で乗っ取られるのをヘリックスに助けられたとも言えるので、誰が誰を助けたのか関係が複雑になっています。
 知能を獲得したヘリックスは出て行ってしまいます。
 うーん、スタージョンって、結構、意地の悪い作家だなと改めて思いました。本作の出来そのものは割と良いと思うのですが。