翻って日本の現状は?

ところが、2000年代の日本のゲーム付き雑誌の状況と言うのはかなり異なっている。往時のS&Tは試験的な射爆場のようなところで、その中で好評だったものはボックスゲームになっていった。
今の日本では、かなり好評でオークションで暴騰するようなもの以外はまずボックスゲームにならない。いや、むしろ往年のボックスゲームを雑誌の付録でリプリントするという逆コースの方が主流になってしまっている。
とすると以下のようなことが言えないだろうか?
●雑誌付録ゲーム:日本のウォーゲーマーの主力層、各号ごとに購入選択する
▲ボックスゲーム:ボックスゲームは輸入がほとんどで雑誌の付録ゲームと製品群としてはかなり別のものになってきている。客層は重なっているかも知れないが、買う側の意識としては別のものでは?
確かに同じウォーゲームではあるのだが、GJ26号を買って秀吉頂上決戦を手に入れるときと、GMTのコンバットコマンダーを手に入れるときとでは、かなり違った意識が働いているのではないだろうか。
それは、昔のS&Tを定期購読しているのと、その中からボックス化されたゲームを買っているのとの意識の違いとは、かなり異質なものなのではないだろうか。
結果として現状の日本のゲーム付きウォーゲーム雑誌では、読者層の期待に応えられない付録ゲームを付けると、その号の売れ行きはかなり低落するのではないかという気がする。バックナンバーの売切れ方を見ても、それがオークションで売られるときの価格格差にしても、往年のS&Tより激しい気がする。もちろんS&Tの場合は好評なゲームはボックスで売られてしまうのだから、暴騰しにくかったという事情も作用しているわけだが。
これに拍車を掛けているのが、「すごく良いゲーム」だと、予備を買う人がわたし自身も含めて結構いることだ。GJの「信長最大の危機」が出たときにはあまりに面白く、スリ切れたりユニットを紛失したりするリスクが恐ろしくてもう一冊買ってしまった。こうした傾向が人気の号の売切れを早めオークションでの暴騰の遠因の一つである気がする。しかも、最近はこういう人たちがブログで「これは面白い!」と煽ったりもしているわけだ‥(^_^; 「信長最大の危機」ほどに需要が高まるとさすがに再版されたが‥。
結果として「売れ線を上手に押し続ける」ような付録ゲーム戦略が毎号の売上げを確実に高く保つためには必要な時代になってきているのだと思う。GJはそこのところで一定の成功を収めている気がする。