オメガウォーをソロプレイする

bqsfgame2009-01-29

昨日書いた通り、シークエンスの非対称性が、両軍の戦術思想を支配する作りになっているあたり、戦闘ユニットによる機動と戦闘のタイミングの妙味で展開する面白そうなウォーゲームに聞こえます。ところが、実際にプレイすると、そういう印象は受けません。
最大の理由は、政治的なイベントの支配力が非常に大きく、軍事的な行動の影響力を上回ってしまっていることにあります。
特に反乱軍政治フェイズにおいて、盤上の連合軍管理下にあるドーム都市がいくつ反乱蜂起するかをチェックするシークエンスがあるのですが、これが強力です。
その時点の政治情勢を踏まえて蜂起する都市数が決められますが、反乱軍はその時点で連合軍支配のどの都市でも好きなものを指定数まで自由に指定して蜂起させられます。そうすると、そのドーム都市にいた連合軍ユニットは一方的に破壊されてしまうのです。補給の概念があり、また軍事的に都市を奪われることでもゲームが劣勢になっていくので、連合軍はどうしても都市にユニットを配置して守らざるを得ません。そうすると、この政治ルールでドカンドカンとドーム都市が蜂起して、そこにいたユニットが一瞬で吹っ飛んでしまうのです。
連合軍のユニットは装備が圧倒的に良く、反乱軍のユニットより強力なのですが、こんなルールで一方的に吹き飛ばされてしまうのでは堪りません。
反乱軍側からしても、戦闘では容易に勝利できない相手を、簡単に一方的に吹き飛ばせるルールが存在するのですから、まともな攻撃努力など理に叶わなく感じてしまいます。
そして、こうした理不尽で一方的なルールによるのであれどうであれ、かくて反乱は進捗したことになり政治情勢は反乱軍側にさらにシフトすることになります。そして、反乱軍の蜂起はさらに進んでいくのです。
結果として、実際にプレイしたときには、ウォーゲームと言うよりは反乱のドミノ倒しをサイコロチェックしているようなゲームになってしまいます。戦闘ユニットの額面能力を見ていると、反乱軍はどうしたら勝てるのか不思議なくらいのゲームなのですが、実際にプレイすると反乱の火の手は止めようがなく大幅に反乱軍有利なワンサイドゲームではないかという実状になってしまいます。
設定が魅力的で、シークエンスの作りなどルールを読んでいる段階ではワクワクさせるメカニクスが色々と散りばめられているだけに、実際にプレイすると非常に残念に思われます。少し本気でプレイテストすればわかるであろう欠点なだけに、雑誌の締め切りに追われて出したのかなという印象も受けます。
マップやコンポーネントや戦闘システムをそのまま流用して、政治ルールや勝利条件を大幅に見直して遊べるように工夫することができれば再生できると思うのですが、筆者の知る限りでは今の所そういう成果は出てきていないようです。