☆リヴァイアサンを読む

bqsfgame2012-03-22

ハヤカワの新SFシリーズの第1回配本。
これはケレン味なく面白かった。
筆者はサイバーパンクとは相性がわるく、ホムンクルスも、悪魔の機械も、幻影の航海も、どれも今一つだった。面白かったといえば空洞地球くらいだろうか。
しかし、このリヴァイアサンは、青春冒険小説風で、なかなか良かった。
設定はWW1前夜から始まるのだが、この架空世界ではイギリスはダーウィニストと呼ばれる遺伝子改変生物文明、ドイツはクランカーと呼ばれる機械文明を築いて対立している。
物語の主人公は、オーストリア皇太子の忘れ形見と、女性であることを隠してイギリス空軍に入隊した少女の二人。
最初は物語は交錯せず、それぞれの国、それぞれの文化の説明を兼ねて別々に淡々と進んでいく。
そして、少年はストームウォーカーでスイスへ亡命し、少女はイギリス空軍が誇る巨大生物飛行船リヴァイアサンでトルコへ赴く任務に付くがドイツ空軍に捕捉されスイスに墜落する。
そして二人の運命は交わり、三部作の第一巻である本書のクライマックスを迎える。
新書で400ページの大作だが、アッと言う間に終ってしまう。次の巻が出るまで、これはハリーポッター以来、久しぶりに待ち遠しく感じることになりそうだ。