ラファティの最新刊。
最新刊をすぐに買ってすぐに読むとはなんと珍しいことか‥(^_^;
ただ、期待したほどには面白くなかった。
亡くなられた越田先生が、翻訳作品の場合には当該作家の最高傑作から訳されて、段々と佳作、凡作、それでも進み続けると駄作が訳されるようになるので、基本的には最初が一番良いものだと言われていた。そういう意味ではラファティは凡作ゾーンに入ってきたのかも知れない。
とは言え、ヒューゴー賞受賞作の素顔のユリーマが収録されたのは意義深いだろう。
楽園にては、聖書の楽園をモチーフにした皮肉な一編だが、これなどはワンポイントアイデアながらテイストが良く個人的には評価したい。
ちょっと寸が長すぎる気もするが、ぴかぴかコインの湧き出る泉もラファティらしい典型的なトールテールだと思う。
解説にあるが、後半が亡くなられた浅倉先生の嗜好を反映していると言うが、伊藤氏の言う通りで、少しこじれている物が多いかも知れない。SFマガジンベストのアンソロジーは実は二人の共編ではなくばらばらの作業だったと言うのは興味深い。そういう視点で読み直してみたいものだ。
ラファティ自身が傑作と呼ぶ巻末の1873年のテレビドラマは、やりたいことはわかるが今一つ面白く読めないように思う。
ラファティは多作だが、ある時期以降は書いても出版の目処が立たないものが少なくないという。その意味では、そもそもアメリカでも経時的に劣化の進んでいった作家なのかも知れない。
その意味では初期長編の未訳で刊行が予告されている第四の館あたりが最後の期待できる作品なのだろうか?