スペイン継承戦争を対戦プレイする3

さて、プレイの方に話しを移します。
最初のオープニングムーブについては、対戦打合せ掲示板で話題になりました。要約すると、「マールバラ公のリエージュ侵攻は失敗率が30%以上もあり、負けた時のリスクも大きく良くないのでは?」と言うことです。これに対して提督さんは、最初のムーブでオステンド侵攻と言う提案をされ、それに対して「ブーフレールを無傷で放置するのは別のリスクとして大きいのでは?」と指摘した所まででした。
で、当日の提督さんのオープニングムーブは、ケルン侵攻でした。これは議論を踏まえた選択だけあって渋い作戦で、ケルンなら自分がいたナイメーヘンを迎撃範囲に入れておりブーフレールの反攻作戦にも対処が可能です。
フランス軍も悩みましたが、ただ黙ってケルンを取られるのでは合わないのでブーフレール公は、ナイメーヘンへ逆侵攻しました。迎撃でケルンから戻ってきてもらえば、結果として最初のムーブは無成果で一手損になるので、時間が味方になるフランス軍としては良しと言う判断です。迎撃されればブーフレールは大きな損害を食うでしょうが、それは初手でリエージュに侵攻されてリエージュで大きな損害を食うのと比べれば1スペース押し込んだ位置で受けたことになるので、次の同盟手番でリエージュに進まれ、そこで戦闘回避して下がっても上述した通りマールバラ公の一手損な訳です。
この辺の、「一手損」とか、「1スペース押し込んだ」とか言う小さな成果が本作では、実はかなり問題になります。逆に言えば、マールバラ公ほどの強力なタレントがいても一気に相手スタックを吹き飛ばしたり、何スペースも前進することはかなわない地味なゲームなのです。ここらへんはプレイしないと見えない部分で、今から購入される方はマールバラ公が八面六臂の活躍をする機動戦のゲームではないので留意されたい。
提督さんは熟慮の末に迎撃しないことを選択、次のフランス軍アクションでケルン包囲戦を実施。ダイス目が良くケルンは一撃で陥落。逆にフランス軍のダイス目は凡庸で、ナイメーヘンは陥落しませんでした。結果として、マールバラ公はケルン奪取後におっとり刀でナイメーヘンへ駆け付け、凡将たるブーフレール公は戦果なくリエージュへと撤退することとなりました。
後から文章に起こすとこれだけですが、これだけの意思決定に非常に重苦しい雰囲気が漂いプレイ時間も相当に掛かりました。このゲームでは、1ターン単位ではなく、1ラウンド(つまりカードドリブンで言うカード1枚のプレイ)ごとに戦況が部分的には大きく動き、それが繰り返されるので1ターンの中に物語があります。提督さんは、「1ターンだけでもミニゲームみたい」と表現していました。
記録を取らなかったので、細かい話しは止めにして大きな流れで戦況を説明しましょう。
オランダ戦線では、上述のような一手一手の応酬によるチェスムーブ的な駆け引きが続きました。結果として、一進一退となりマールバラ公は大きなVP戦果を積み上げることができませんでした。
オランダ戦線で両者がカードを応酬するので、他の戦線の動きは概して大きくありませんでした。ドイツ戦線ではヴィラール公とマクシミリアン2世の合流が、バーデン辺境伯の存在でなかなか実現しませんでした。
イタリア戦線ではプリンツ・オイゲンとヴァンドーム公が睨み合い、両者とも動きが取れない状態が続きました。
唯一動きがあったのはスペイン戦線で、此処では1702年からイギリス軍がジブラルタル上陸作戦に打って出てきました。フランス軍から見ると頭の痛い作戦で、スペイン戦線には些少なスペイン軍しかいないため、対応する方策がありませんでした。また、ジブラルタル包囲戦のダイスも良く、同盟軍はポルトガル参戦前にイベリア半島に足掛かりを得ました。
と言うことで、ケルンとジブラルタルが陥落したので同盟軍は+3点。しかし、地中海の制海権がブルボンにあると毎ターン−2点と言うルールがあり、実質的には1点だけ同盟が獲得しました。
ちなみにイギリス撤収がない場合には同盟がゲーム終了時に25点を必要としており、初期値10点から見て15点を取得しなければなりません。