BSプレミアムシネマで、プレステージが掛かったので小躍りして見ました。
公開当時劇場で見ようと思っていたのですが、ちょうど異動と重なってしまい見損ねました。
もちろんクリストファー・プリーストの傑作「奇術師」の映画化作品です。
ただ、原作が大作なので、全体は2時間の映画では描けないだろうと思っていました。ですので、どう切り出すのかと思って見ていました。驚いたことに、原作通りではないのですが、原作で重要と思えるストーリーラインは全部網羅されていました。これは、凄い脚本を書いたものです。
原作も映画も、二人のライヴァル奇術師の確執が主軸です。
特に大型奇術である人間瞬間移動術が焦点となります。そして、互いの移動術の種を探り合います。
そもそも二人が対立する原点となる若手時代の事故死も描かれます。
そして、物語の冒頭シーンと、そしてクライマックスの冒頭は、奇術師ボーデンが、奇術師ダントンの移動術の謎を探ろうとして、誤ってダントンを殺してしまう場面になります。
ただ、映画独自の設定として、ボーデンがこの事故を殺人罪で訴えられて収監されていることになっています。
そして、映画独自の最後のプレステージとして、まず事故死したはずのダントンの、そして死刑になったはずのボーデンの最後のトリックが明かされて唖然とする終り方をします。
原作も大傑作ですが、その映画化作品と言うに留まらないオリジナリティを持ち、それでいて原作の重要な要素は全てカバーしていると言うビックリの出来栄えでした。
これは劇場で見るんだったなぁと、久しぶりに後悔しました。
あと、ニコラス・テスラ役で、デビッド・ボウイ(地球に落ちてきた男、ザ・ハンガー)が出てくるのはSF映画ファンには嬉しい部分でしょう。
あと二人の奇術師の間で揺れ動くオリヴィア役のスカーレット・ヨハンソンも意外に良かったです。他にも脇役が好演していて、全体に引き締まった映像を作り上げていました。
ただ、プロットの複雑な映画なので、途中で脱落する人が出るのは止むを得ないかも知れません。原作を読まずに見て、どのくらいの人が最後の謎解きの意味を把握できるのかは不安を感じる部分です。ですので、本作をつまらないと評する人をネットで多々見掛けるのも、無理はないかなと思いました。