×どんがらがんを読む

bqsfgame2014-07-01

奇想コレクション初期のアブラム・デビッドスン。
表題作は、ワールドSF第3集で既読。また、デビッドスンの長編「エステルハージ博士の事件簿」は面白かった。
そんなことで、期待もしていたし心配はしていなかったのだが、これは難しい。
本書を読むと、デビッドスンがいわゆる意地の悪い作家だと言うのが良く判る。言い換えれば、わざとわかりにくく書いてある作品が多いと思う。
「物は証言できない」は、奴隷はものだから証言能力がないことを利用した人が、その同じ理由により自分の無罪を証明できなくなると言う皮肉な作品
「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」は、ヒューゴー賞受賞作でタイトルは非常に有名。生活の中に擬態した生物が忍び込んでいると言う奇想を妙な語り口で語る小品。これは洒落ていて、受賞は頷ける出来栄えだと思う。
「ラホール駐屯地での出来事」は、MWA賞(アメリカ探偵クラブ賞)受賞作。駐屯地で突然起こった実際の殺人事件の原因を解き明かすと言う趣向なのだそうだが、良くできたショートショートになっている。そうか、一見、真面目そうなやつが一番ずるいのか‥(^_^;
ナポリ」は、世界幻想文学大賞受賞作なのだが、どこがどうなっているのか判らなかった。
「どんがらがん」は、今となっては製造不能な技術である巨砲を引きずって暮らす一族の悲しい結末を描く物語。続編があるとは知らなかった。ちなみに続編はバシリスクと言うそうだ。
画像は、WH40kの巨砲バシリスク。同名なのは、偶然ではあるまい‥(^_^;