ジョン・ヒルの遺作、「新版ヤルー」をソロプレイしてみました。
師団規模、1ターン1週間のゲームです。
スケールから判る通り、意外に規模の大きい範囲を扱います。中共軍の介入から始まりますので中国国境が見える所から始まりますが、ボード内にソウルやインチョンまで入っています。
で、不思議なのが師団規模のゲームながら戦闘解決が戦術級ゲームのようです。攻撃側の接敵と攻撃宣言、それに対する防御側の防御射撃、その後で攻撃の解決となっています。防御射撃、攻撃とも、意外なことに戦闘比方式でファイアーパワーではありません。また、極めて珍しいことに防御側へクスの敵の一部を選択攻撃できます。
メイアタックで、中共軍側のみ浸透移動ができます。また、中共軍側は、初期奇襲効果、人海戦術、ゲリラなどのルールがあります。国連軍側には、初期離脱移動、リッジウェイ将軍着任などのルールがあります。
浸透移動があるので、中共軍は国連軍部隊を包囲しに行けます。しかし、包囲環に弱点があると、そこに向かって防御射撃されてしまいます。ここらへん、1ターン1週間の中で、前線では様々な攻防があるのを反映しているような雰囲気があります。そこらへんが、ヒル独特のダイナミズムでしょうか。
朝鮮戦争は、北朝鮮軍の奇襲で一気に南進、インチョン上陸などの国連軍の本格反撃で一気に北進、中共軍の突入で一気に南進、そして膠着状態に陥って休戦しました。非常に激動した戦線が特徴的な戦争で、逆に次に相手の大反撃を食らうと言う史実をプレイヤーが知っていると史実のような展開が再現されないと言う難点があります。結果として、どこかの位置一フェイズを切り出したゲームの方が作りやすいのですが、本作は中共軍の反撃から膠着に至るまでを扱います。中共軍の量の暴力を、国連軍が質で捌いて見せるのが本作の醍醐味なのかと思います。と言っても、今回はルール学習のために1ターンほどプレイしただけなので、全体像は未知数です。今週末、対戦予定なので楽しみにしています。