☆皆勤の徒を読む

☆図書館で借りて読み始めましたが、あまりにスゴイので途中で古本を買いました。

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表題作ほか3編からなる連作中編です。

しかし、設定は共有されており、時代がズレています。実は表題作が一番の遠未来で、一作ごとに古い(現代に近づいてくる)のだそうです。

オールディスの「地球の長い午後」のような異形の生態系を、奇怪な漢字熟語で表現しており、読みにくいこと夥しいです。これの煽りを受けて「レ・コスミコミケ」を半分しか読めませんでした。

ものすごく異形の世界ではあるのですが、2作目が学園もので、3作目が探偵ものであることは、読んでいるとなんとなくわかるから不思議なものです。

ちなみに各作品に英題がちゃんとついています。表題作は、「sisyphean」、ギリシャ神話に登場するシーシュポスだそうです。

タルタロスで巨岩を山頂まで運び上げる罰を受けた人ですが、運び上げても必ず岩は転がり落ちてしまうのだそうで、日本の賽の河原と同じく「永遠に続く完了しない仕事」の意味だそうです。

そう言われるとなるほどと思うような、やっぱり判らないような。

とまれ、圧倒的な異形世界の形成力はスゴイです。一見の価値あります。日本SF大賞の受賞は妥当だと思います。

酉島伝法は2020年の日本SF大賞も「宿借りの星」で取っているので、そちらも遠からず読まなくてはなりません。