p220
「この本以外に、どんな土産を持って来たのかね?」
タイラーは興奮して立ち上がった。「必要とされるものならなんでも。組織の維持を約束していただけるなら、なんでも提供できます」
老人は手を振ってタイラーにもういちど座るよう促した。「同情するよ。これだけ長い年月が経つというのに、われわれがもっとも必要とするものがなにか、いまだに知らないとは」
p253
「いいえ」破壁人は言った。「閣下、失礼ながら、これは正確ではありません」
「なぜだ?」
「人類の技術レベルを考えれば、将来われわれが手にしうるもっとも強力な武器は、スーパー水爆でしょう。ただし、宇宙戦闘環境において、敵の宇宙船を破壊するためには、目標を直撃した瞬間に爆発する必要があります。宇宙戦闘機は小型で動きが速く、大量生産が可能ですから、宇宙戦闘機を蚊の群れのように編成し、カミカゼ攻撃を仕掛けるのが最上の選択肢であることは疑いの余地がありません。閣下の作戦は理にかなっています。それゆえ閣下は、日本、中国、アフガンの山中に赴き、犠牲的精神を有するカミカゼ特攻隊員を探しました。」
p304
「呪文が送信されたあと、効果が生じるまでにどのくらいの時間がかかる?」
「この恒星は、太陽系から約五十光年の距離にありますから、呪文が効果を発揮するのはいちばん早くていまから五十年後。ただし、効果が観測できるのはそのさらに五十年後になります」
「すばらしい。われわれは、とうとう神を得た」
議場にどっと笑い声が響いた。
p306
「われわれはしばらく前からこのインフルエンザに注目していました。起源と性質がきわめて異常に見えたからです。いまはっきりしましたが、これは遺伝子兵器、もしくは遺伝子誘導ミサイルと呼ばれるものです」
「誘導ミサイル?」
「感染力のきわめて高い遺伝子改造ウィルスですが、ほとんどの人間は、感染しても軽いインフルエンザのような症状が出るだけです。しかし、このウィルスには遺伝子識別能力が備わっており、特定の個人の遺伝子特徴を判別します。この攻撃目標が感染すると、ウィルスはその人間の血液中で致命的な毒素を製造します」
下巻
p49
三体文明からすれば、太陽系は、自分たちの惑星が三つの恒星に呑まれる前に植民できる唯一の希望であり、第二候補はありません。したがって、三体文明もまた、人類のあとを追って滅亡することになります。
p166
東方延緒が章北海にパスワードを引き渡す番になった。艦長は口頭で、
「Men always remember love because of romance only」煙草のマルボロは、このフレーズの頭文字を取ったものだという都市伝説がある。