1月のNHK杯囲碁トーナメント

 新春スペシャルを無事に終えてトーナメント再開。

 第1週は、志田8段と大竹7段の名古屋対決です。必然的に解説は名古屋の方ですが、柳澤6段でした。あまり存じ上げない方で、なんとなくのび太君みたいで大丈夫かと思いましたが、案に相違して丁寧な解説ぶりでした。碁の方が非常に渋い碁だったので、鮮やかな読みの披露というような見せ場がなかったので、底力の程は見えませんでした。

 なんと言うか、穏やかに打って細かいヨセの技術で雌雄を決するという名古屋の大先輩・島村先生を思わせる碁となりました。少しずつ志田先生が押していって一時は勝率90%を越えましたが、大竹君が一矢報いて形成不明に。柳澤解説者によると一時は半目勝負になっていたとのことですが、最終的には志田先生が作って2目半を残しました。ヨセの強い先生にとっては十分に手厚い差なのかと思いますが、アマチュアには難しすぎます。

 第2週は、本木8段と許家元の力戦派対決。

 解説は個人的にイチオシの片岡先生が二年ぶりにご登場されました。前回は2022年6月の村川、藤沢戦でした。

 碁は予想に違わぬ力戦となり、左上の白の大石が二眼できなくなって大ピンチ。それでも、許九段は粘りに粘って一手寄せ劫にしましたが、攻め合っている左上の黒の「生きる!」の手が全て劫立てになる状況となっては勝つことはできなくなりました。この攻め合いの大きさが大きすぎるので、これで勝負あったかに見えましたが、意外にも劫立てを連打して劫を解消してみると、AIの形成判断は非常に接近。さらに左辺のヨセで目一杯黒の地に食い込むと、黒も最強に応接して渡りを賭けた劫争いがまたも発生。

 劫争いが激しいため、抜き跡が非常に多い碁となり、さしも明るい片岡先生も「抜き跡が多すぎて計算できません。形成判断ができなくて申し訳ありません」と謝る事態に。

 意外にも最後まで打って作り碁となり、黒地4目+アゲハマ3子の結果となり6目半のコミを引いて黒半目勝ちとなりました。

 大激闘でしたが、この碁の解説が「明るい」片岡先生で本当に良かったと思います。

 第3週は、井山王座と六浦八段。解説は人気者の武宮先生。

 武宮先生もご自身も言われていましたが久しぶりの解説です。

 まあ昭和は遠くなりにけり。

 井山先生のタイトル獲得数が73という話題になり、武宮先生もちょうど73才だという話しに。そうか、それはもう対局者として出てこれなくても仕方のない年齢なのですね。本田先生も淡路先生も出なくなって久しい。

 解説ぶりには特筆すべきことはないと思いますが、お話し上手であることは疑いなく楽しく聞きました。

 最後は六浦八段のポカで終わったのですが、「あれ、あれれえ、これはやっちゃいましたね」というのは解説ではなく感想ですわね。

 第4週は、一力棋聖に一力君から比較的勝てている本木八段が挑みました。解説は鈴木八段。対戦成績的には圧倒されていますが、それでも一力さんにこれだけ入る(勝てる)人は他になかなかいませんから‥と言うのは説得力ありました。

 碁の方は予想したほどには激しくならず、小太刀の応酬でじわじわ一力棋聖がリードを広げていき、最後は大ヨセの手止まりくらいまで打った所で本木八段が潔く投げました。

 鈴木八段の解説は可もなく不可もなし。